前編では、「Harvard Business Case Competition」のファーストラウンドまでの体験についてご紹介しました。今回はファイナルラウンドの様子についてご紹介します。
ファイナルラウンド
ファイナルラウンドはファイナリスト発表から1ヶ月後にHarvard大学で行われ、ファーストラウンドで提出した提案内容を15分でプレゼンします。
準備は107ページもの提案資料から15分用のプレゼン資料に作り替えるのに苦戦して中々作業が進みませんでした。また途中で我々が提案した買収候補企業にGMがアプローチして失敗、競合他社が出資というニュースが報道されるなどチーム内で提案内容を変更すべきか意見が分かれました。結局ストーリーラインは変えず、Teslaの代替え案の代替え案も出すということで落ち着きました。第三者の意見も聞くため、同級生や教授の前でもプレゼンとQAの練習をしました。みんな協力的で非常にありがたかったです。やはりESADEの人は教授含めて協力的だと改めて感じました。
ボストンへ
プレゼンの2日前にボストンに到着しました。その日はチームで軽くボストンを散策してMLB観戦をして終わりです。翌日にはファイナルラウンドに進んだグループ、オーガナイザー、ゲストなどが参加する前夜祭に参加しました。会場はハーバード大学の前にあるカジュアルなバーです。ヨーロッパのID、パスポートのコピーを身分証明書として受け付けてもらえず、お酒が飲めなかったので早めに切り上げた後、夜に何度か全体練習をしました。
そして本番当日。朝もホテルで何回かプレゼンの練習をした後、会場に向かいました。会場入りし、当日の流れとプレゼンの順番についてアナウンスがありました。我々は9番目です。早く終わらせたかったのですが、プレゼンの練習もできるしとポジティブに捉えて5時間くらい適度に全体練習をしながら順番を待っていました。
予定通り進行して午後2時半頃に会場に呼ばれました。会場には審査官含めて70人前後いました(含む既にプレゼンを終えたチーム)。プレゼン自体は練習通りでき、審査官からの質問も無難に対応できたので個人的には満足の出来でした。プレゼンの後は他のチームのプレゼンを見ることができるので残り2チームのプレゼンを見られました(ファイナルに残ったのは10チームですが、プレゼンだけをしに来たチームがいたため、11チームが参加)。正直、残りの2チームと比べるとプレゼン資料(他のチームは文字だらけでキーメッセージがわからない)、プレゼンの構成、QA対応などは我々の方がいいと感じ、最終結果への期待が高まりました。
ケースコンペの結果は?
結果はその日の夜に開催されるGala(打ち上げ)で発表となります。Galaの会場はファンシーなホテルの一角。女性はおしゃれなドレスを着こなし、男性陣はタキシードが大宗。「学部生時代は新宿や渋谷の安居酒屋で飲み、30代を過ぎた今でもスペインの安いバーや野外で飲んでいる僕が入ったことのないような世界」だと思いながら結果発表を待ちました。
さて結果ですが、残念ながらトップ3にも入れず、落胆して即会場を後にしました。特にチームを牽引していた米国人のG君はかなり落ち込んでて、涙ぐんでるようにも見えました。全てのプレゼンを見た人によるとほとんどのチームが同じような会社を買収先として提案していてこのチームがぶっちぎりでこのチームが優勝だろうというのはなかったとのこと。後日フィードバックをもらいましたが、我々のチームは2、3位のチームとほぼ僅差でした。敗因の1つはメンバー全員がプレゼンに参加したかどうかという評価項目が低かったことです。我々の場合、全員がプレゼンに参加したものの、ネイティブのG君をプレゼンの司会と各章のTakeawayを説明する役にしましたが、それが裏目に出てプレゼン時間がG君に偏っていると思われてしまったようです。最終日は家族がボストンに来た米国人G君以外で観光をしてスペインに帰国しました。
最後に
ケースコンペを通して得られたことについて、まとめたいと思います。
- プレゼン資料作成技術。ドイツ人のT君はコンサル出身、インド人のAさんは某大手会計事務所出身ということでプレゼン資料作成経験の少ない私にとっては彼らと一緒に仕事をすることで多くのことを学ぶことができました。
- 知識(ファイナンス&自動車業界)。月並みですが、テーマとなっている業界や必要となる分析ツールについて更に知識を深めることができました。今までの知識を活かせるだけでなく、授業で学んだことを復習する場としても活用できます。
- 英語のプレゼンスキル。授業や学校のイベントでもプレゼンをする機会はありますが、外部の人向けにプレゼンをする機会はそう多くはありません。そういった意味では非常に貴重な経験となりました。
- 他校生との交流機会。今回は残念ながら2チームしか見れませんでしたが、他チームのプレゼンを聞くことは非常に勉強になります(プレゼンのデザイン、アイディアなど)。またGalaなどで他校の代表チームと交流もできます。これもケースコンペファイナルならではだと思います。同じ業界に興味を持った学生との意見交換は有益なものでした。
- チームメンバーとの忘れられない思い出。ほぼ20時間ぶっ続けで資料を一緒に作成したこと、ボストンでの数日間、ファイナルの結果を一緒に悔しがったことなど授業のグループワークでは経験できない特別な時間を過ごすことができました。この経験は確実にMBA生活のハイライトになります。
チームとして目指していた結果は得られなかったものの、上述の通り多くの経験・知識、MBA生活の忘れらない思い出、そしてそれを共有できる仲間を作ることができました。MBA生活の中で時間と興味があれば何かしらのケースコンペに参加されることをお勧めします。
S. S. (Class of 2020 #13 男性 30歳 私費 単身)
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