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日本人学生とMBA授業

こんにちは!Co23KSです。私だけでなく、自分がMBAの授業についていけるか?というのは多くの純ジャパの方が抱く疑問ではないかと思います。答えは当然、”It depends”なのですが、今回は純ジャパ→ESADE生の観点から可能な限り皆さまの疑問にお答えできればと思います。

 

Participationについて】

ご存じの通り、MBAの授業の大半では、授業内の発言の頻度と質が成績の一定割合を占めます。日本人以外のESADE生の多くは、英語圏での学部卒、居住・就業経験があるだけでなく、非常にアクティブなため、授業内のディスカッションは非常に活発です(交換留学でM7などのトップスクールに参加した学生からも、ESADE生のParticipationのクオリティの高さは聞かれるところです)。そんな中、純ジャパの自分にとっては最初、50名弱の学生が一同に会する授業内で発言をするのは非常にハードルが高かったのは事実です。ただし、まずはクオリティを気にせず1授業に1度は発言をしようと心がけてきた結果、徐々にハードルが下がり、より自然な形で授業への参加ができるようになってきました。少なくともESADEに関していうと、多少的外れな発言をしたからといって白い目で見られるようなことはなく、教授もうまく軌道修正をしてくれるため、安心して挑戦できる環境にあります。

 

Group workについて】

Participationに加えて最初の難関がGroup workでした。ESADEでは学生が67名のTeamに分かれてAssignmentに取り組み、その成果物について成績評価を受ける機会が大半の授業であります。英語力の差に加えて、前述の通りアクティブな学生が多く、筋道がまとまっていようといまいと議論がどんどんと進んでいくため、当初は科目によっては発言はおろか内容についていくのが難しいこともままありました。自分は会計やファイナンスが得意分野であったため、序盤はその分野で議論をリードすることを目指した上で、それ以外の分野でも積極的に割当を取りに行き、一定のクオリティの成果物を示し、信頼を得るよう心がけてきました。こちらも授業と同様、日々の議論の中でTry & errorを積み重ねていき、徐々に自然な形で自分の得意分野以外でも議論をリードできることが多くなってきました。ESADEではほとんどの授業でGroup workを課されるため、各自がいずれかのタイミングでプロジェクトのリードとなる機会がありますし、CollaborativeCultureも相まって自ら手を挙げて挑戦するのを阻むような話は聞いたことがありません。むしろプロジェクトリードに対して協力的にサポートしてくれます。また、家族がバルセロナに来ていたり、旅行でバルセロナを不在にしていたり、また体調が優れないなどといった場合に、いやな顔をせず各自のスケジュールに合わせて割当を調整し合うところもESADE生の素晴らしいところだと思います。

 

【試験について】

試験のフォーマットはケースライティング(事前、又は試験開始時にケースが与えられて問題に答える)、プレゼン、計算(ファイナンス、会計、オペレーションなど)、選択問題など、科目によって様々です。試験勉強のスタイルは人によりけりではあるのですが、試験前になると人によっては自主的に勉強会を開催し、試験対策が行われます。私も友人に依頼されて、各Termのファイナンス、会計系の科目の勉強会を何度か開催する機会がありました。また、勉強会外でもチャットやZoomでチームやクラスメートから多量の質問を受けることもあり、周りの友人の勉強に対する積極的な姿勢と、インタラクティブに学ぶスタイルに刺激を受けてきました。

 

個人的に特に一番のハイライトだったのが、Corporate Financeの試験です。事前にケースが与えられてValuationをした上で、試験当日に与えられる問題に記述式で回答する試験だったのですが、事前に準備したエクセルをクラスメートに共有後、友人からの依頼により2度の勉強会を開催することになりました。ただし、その後も数日に渡り多数の友人からチャット・Zoom・電話攻勢にあったため、さらに追加で試験前日にZoomでのQ&Aセッションを開催する運びとなりました。当セッションを含め3回の勉強会に延べ40名弱の参加者があり、皆、自分のつたない英語での説明にも熱心に追加質問をしたり、耳を傾けたりしてくれました。最終的にはエクセルシートやチャットでの補足説明が学年中に拡散し、試験後にCampusで誰かに出会う度に、「You saved my life!」と言われ、純ジャパでもできる、という自信を深めるきっかけになりました。また、実はこの対応に追われて他科目の準備がおろそかになってしまっていたのですが、逆に他のクラスメートがZoomにて試験対策をしてくれて、無事に乗り越えることができました。まさかの試験対策でもESADECollaborative spiritを感じる貴重な経験となりました。

 

【成績について】

これこそ人や科目によりけりなのですが、ポジティブな意味で事前の想定とは異なる点がありました。個人的には、純ジャパの自分でも数字を扱う科目はそこそこいけるだろうが、それ以外は苦戦をするのではと考えていました。もちろん苦戦→撃沈することも多々あるのですが、実際には、数字を扱わない科目でも上位の成績を頂ける機会も想像していた以上にありました。中でも一番感慨深かったかったのが、General Management and Strategy IIという、 Corporate Strategyを扱う科目での試験でした。実例を挙げて回答する形式の問題で、日本企業の例(総合商社のポートフォリオマネジメント、M&A戦略など)を使って回答をしたところ、模範解答としてピックアップ+学年でもトップレベルの成績+当科目の最終成績でHonorsを頂くことができました。改めて日本企業のプレゼンスと個性、それに対する他国からの興味の高さを伺える機会になりました。また、これに限らず他の日本人学生でもケースライティングで学年上位レベルの評価を頂く例などもあり、洗練された英語表現の有無に関わらず純粋にコンテンツを評価してもらえる状況であるため、モチベーションを高めて取り組むことができるように感じています。

 

【総括】

以上、ポジティブな変化や結果を中心にお伝えしてきましたが、個人的に感じるESADEの最もよいところは、失敗できる環境だということです。成功の裏には失敗があり、その裏には挑戦があり、というところで、まさにESADEに入学して以降、大小関わらず、数知れぬ挑戦・失敗を繰り返しながら、国際人として、プロフェッショナルとして、少しずつ成長してきたように感じています。日々、自分の不甲斐なさに心が折れそうになりながらも、諦めずに挑戦し続けてこれたのは、まさにESADEの教授・友人が織りなすCultureのおかげだと実感しています。

 

巷では、MBAの知識は本でも身につけられるといった議論も聞くことがありますが、間違いなく本やEラーニングを超えた経験が待っています。特に、座学だけではなく議論を交えて行われる授業やGroup workには、知識のInputは前提として、実際のビジネスの現場で行われる議論のためのトレーニングになることはもちろん、OutputConflictCorrectionResultの過程で刺激を受けることによる記憶の定着、視野の広がりなど、挙げるにキリのないメリットがあるように感じています。その点で、様々なバックグラウンドを持つ友人とのインタラクションというのは中でも重要な要素であり、ESADEには最高のDiversity、友人たちが待っており、キャリアや教育を超えた人生を豊かにする機会に溢れています。MBA留学に迷われている方、準備に苦労されている方は自信を持って決断・努力を続けて頂き、この貴重な機会を得て頂けるようお祈りしています!